民法 総則 7章 時効 162条~165条

TY24

2020年02月07日 08:52

第2節 取得時効

162条(所有権の取得時効)
20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。

②10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

趣旨
20年間、暴力や脅迫などがなく、隠し事もなく自然な形で人の物を使い続けていれば、取得時効の法的効果により、自分の物になってしまう。
2項は、時効によりその所有権を取得する者が、自分の物であると信じていて、それを調べなかった事に特に問題がなかった場合の期間は、10年と、短くなる。反対解釈として、1項は悪意であった場合でも20年たてば時効の効果により、所有権を取得することになる。


163条(所有権以外の財産権の取得時効)
所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、前条の区別に従い20年又は10年を経過した後、その権利を取得する。

趣旨
「所有権以外の財産権」とは、例えば、賃借権、地上権、知的財産権などがあるが、それらも162条と同様に、規定された時間の経過により権利を取得するということ。


164条(占有の中止等による取得時効の中断)
第162条の規定による時効は、占有者が任意にその占有を中止し、又は他人によってその占有を奪われたときは、中断する。

趣旨
時効により所有権を取得する者が自分から占有を止めたり、他人に占有を取られた時は、今までの経過時間はチャラになる。占有が中断すると、また新たに占有を始めても時効の起算点はふりだしに戻るということ。


165条
前条の規定は、第163条の場合について準用する。

趣旨
所有権だけでなく、財産権についても「164条と同じく扱いますよ」ということ。



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