民法 総則 5章 法律行為 119条~120条
第4節 無効および取消し
119条(無効な行為の追認)
無効な行為は、追認によってもその効力を生じない。ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認したときは、新たな行為をしたものとみなす。
趣旨
無効な行為は追認をしてもやっぱり無効であるということ。しかし、当事者が無効であることを知っていたときに追認した場合は、「もう一回最初から考えましょう」というワンチャンスの機会を与えるのが後段の但し書きである。例をあげると、酔った状態で賃貸借契約の解除の意思表示をした場合、その意思表示は無効だが、後日、酔いがさめ、意思能力を回復した状態で、やはり契約は解除したいと思い、再度、解除の申し入れをすると、追認ではなく、新たな行為に該当する。
120条(取消権者)
行為能力の制限によって取り消すことのできる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
②錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人、若しくは承継人に限り、取り消すことができる。
趣旨
取消しができる根拠としては①行為能力の制限、②錯誤、③詐欺、強迫の3種類があるが、その3種類の取消ができる状況になった場合でも誰でも取消しができるわけではない。本条は、だれが取消しをできるのかを規定している。
上記①の行為能力の制限によって取消すことのできる者は
1、制限行為能力者(未成年、成年被後見人、被保佐人など)
2、代理人(親権者、後見人、代理権付与のある保佐人など)
3、承継人(相続人など)
4、同意をすることができる者(保佐人、補助人など)
*制限行為能力者のかっこ書きは下記のような状態
認知症などにより、被保佐人となってしまったAさんに未成年の子Bくんがいる場合、AさんはBくんの法定代理人(親権者)ですが、AさんがBくんの代わりにした法律行為はBくんにも取消権がある
上記の②の錯誤、③の詐欺強迫によって取消すことができる者は
1、瑕疵ある意思表示をした者
2、瑕疵ある意思表示をした代理人
3、瑕疵ある意思表示をした承継人
錯誤や詐欺強迫によって発生した欠陥のある意思表示は健常者やその代理人、相続人でも取り消すことができる
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