民法 総則 5章 法律行為 125条~126条

TY24

2020年01月10日 09:24

125条(法定追認)
追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次にあげる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときはこの限りでない。

1、全部または一部の履行
2、履行の請求
3、更改
4、担保の供与
5、取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
6、強制執行

趣旨
追認ができる状態になった後に上記6パターンの出来事があった場合は、法律で追認したと決めつけてしまう制度が125条の規定である。上記6パターンの行動があることによって相手方は「あ、もう取り消さないんだ」と信頼する。それを保護する目的である。しかし、その行動に対して異議が出てきた場合は決めつけるのはちょっと待ちましょうというのが後段。


126条(取消権の期間の制限)
取消権は、追認をすることができるときから5年行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から20年経過したときも同様とする。

趣旨
「追認をすることができる時」(取消権を行使できる起算点)がいつになるかは、取消権者ごと、取消権の発生原因ごとに異なる。詐欺・強迫(民法96条)を受けた者については、詐欺・強迫の状況が消滅した時が起算点になる(大審院明治39年2月9日判決)。
錯誤を理由とする取消し(改正後民法95条)について、いつから表意者による追認が可能になるかは法定されていないし、まだ判例がない。
成年被後見人以外の制限行為能力者(未成年者、被保佐人、被補助人)の場合は、取り消すことができる行為について行為能力を有するに至った時点(例えば、未成年者であれば成年に達した時点)が、起算点になります。もともと、自分のした行為を了知しているはずなので、取り消し得ることを了知したか否かによって起算点がずれることはないと考えられています(大審院大正5年9月20日判決)。
成年被後見人の場合、後見開始の審判の取消し等があっただけではなく、当該行為を取り消し得ることを了知した時が起算点になると解釈するのが一般的。法定代理人(成年後見人、親権者等)の場合、制限行為能力者の行為を知った時点が起算点となる。




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