民法 物権 8章 先取特権 311条~314条

TY24

2020年04月27日 16:15

第2款 動産の先取特権

311条(動産の先取特権)
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の動産について先取特権を有する。

1、不動産の賃貸借
2、旅館の宿泊
3、旅客又は荷物の運輸
4、動産の保存
5、動産の売買
6、種苗又は肥料(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉を含む。以下同じ。)の供給
7、農業の労務
8、工業の労務

趣旨
動産の先取特権は、上記8種類があるが、以後、各条に登場するため割愛する。


312条(不動産賃貸の先取特権)
不動産の賃貸の先取特権は、その不動産の賃料その他の賃貸借関係から生じた賃借人の債務に関し、賃借人の動産について存在する。

趣旨
家賃や地代には先取特権が付いている。例えば、A所有のアパートをBが賃借している場合、Bが家賃を支払わなければ、Bの動産を差し押さえて、Bの他の債権者より先に家賃を回収できる。


313条(不動産賃貸の先取特権の目的物の範囲)
土地の賃貸人の先取特権は、その土地又はその利用のための建物に備え付けられた動産、その土地の利用に供された動産及び賃借人が占有するその土地の果実について存在する。

②建物の賃貸人の先取特権は、賃借人がその建物に備え付けた動産について存在する。

趣旨
土地を貸している者は、借主が地代を支払わない場合には、以下の3つの動産に対して先取特権を行使できる。

1、その土地を利用するための動産(ビニールハウスやそれに設置されている散水機等)
2、その土地を利用するために供された動産(トラクターや草刈機等)
3、その土地の果実(その土地から採れた米や野菜や果物等)

2項趣旨
建物を貸している場合は、その建物においてある価値があるもの(テレビ、パソコン、貴金属等)に対して先取特権を行使できる。


314条
賃借権の譲渡又は転貸の場合には、賃貸人の先取特権は、譲受人又は転借人の動産にも及ぶ。譲渡人又は転貸人が受けるべき金銭についても、同様とする。

趣旨
例えば、A所有のアパートをBが賃借しているが、Bはその部屋をCに転貸した。この場合、Bが家賃を支払わなければ、その部屋にあるCの動産やCがBに支払う家賃に先取特権を行使することができる。




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