民法 物権 10章 抵当権 396条~398条
第3節 抵当権の消滅
396条(抵当権の消滅時効)
抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。
趣旨
被担保債権が行使されずにじこうが完成した場合、その債権は時効により消滅し、同時にその債権を担保する抵当権も同時に消滅するのが自然である。すなわち、債権が残った状態でそれを担保する抵当権だけが消滅することはないという規定である。
397条(抵当不動産の時効取得による抵当権の消滅)
債務者又は抵当権設定者でない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当権は、これによって消滅する。
趣旨
抵当権付きの不動産を善意で占有し始めた人が10年後にその不動産を時効により取得した場合、その不動産に付いていた抵当権は消滅してしまう。
398条(抵当権の目的である地上権等の放棄)
地上権又は永小作権を抵当権の目的とした地上権者又は永小作人は、その権利を放棄しても、これをもって抵当権者に対抗することができない。
趣旨
例えば、Aの土地に地上権を設定したBがその地上権に抵当権を設定してCからお金を借りた。この場合、Aがその地上権を放棄しても、Cはその地上権を抵当権実行により、競売にかけて債権を回収することができる。しかし、放棄ではなく、Aが地上権料を支払わなかった場合、その地上権は消滅するが、それに付いている抵当権も一緒に消滅することになる。(永小作権も同じ考え方)
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