138条(期間の計算の通則)
期間の計算方法は、法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合を除き、この章の規定に従う。
趣旨
期間の計算方法は、原則として、民法139条~143条のルールによって決められる。ただし、法令や裁判所の規則に定めがあったり、契約などの法律行為で別段の定めがあったりするときは、そちらの定めが優先される。
例外をなす法令の例として、次の(1)~(3)がある。どれも、民法140条(初日不算入の原則)の例外。
1、年齢計算ニ関スル法律
2、戸籍法
3、学校教育法
139条(期間の起算)
時間によって期間を定めたときは、その期間は即時から起算する。
趣旨
時間によって定めた期間については、「初時不算入」というルールはない。
140条
日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
趣旨
時間以上の単位で期間を定めるときは、
初日不算入の原則が適用される。時効の5年や10年が成立すると認められた場合、その起算点は初日は含まない。
また、10日以内に支払うという契約も、契約日当日は含まれない。契約が午後1時にされた場合、当日を算入してしまうと、契約前の当日午前も責任を負うことになるので、それを避けるために規定されている。2月中に、3月1日から1年間という契約を結んだ場合は、3月1日の午前0時からと定義されるので、初日も含む。24時間以下は切り捨てられるというイメージ。
141条(期間の満了)
前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。
趣旨
最後の日の午後12時(次の日付の午前0時)と解釈される。
142条
期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日その他の休日にあたるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。
趣旨
期間の最後の日が休日になってしまった場合でも、原則期間は終了する。しかし、休日には取引をしないという習慣があるような契約ではその翌日にずらす。
143条(暦による期間の計算)
週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
②週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
趣旨
本項は、暦による期間の計算について規定してる。週、月または年によって期間を定めた場合は、その期間は、暦に従って計算する。これを
「暦法的計算方法」という。本項により、週、月、年の期間は、時間や日数で計算するのではなく、暦によって計算する。この点につき、同じ1ヶ月間であっても、その月によっては、31日、30日、29日、28日の場合がある。また、同じ1年間であっても、通常の年は365日、閏年は366日となる。なお、週の場合は、常に7日。
2項趣旨
週の場合は、例えば火曜日に期間が3週間の契約が発効した場合は、期間の満了日は、3週間後の火曜日の前日の月曜日ということ。
月の場合は、例えば4月1日に期間が1ヶ月間の契約が発効した場合は、期間の満了日は、1ヶ月後の5月1日の前日の4月30日ということ。
ただし、1月30日に1ヶ月間の契約が発効した場合は、2月30日がないので、2月28日(閏年の場合は2月29日)が期間の満了日となる。
年の場合は、例えば平成18年6月1日に期間が2年間の契約が発効した場合は、期間の満了日は、2年後の平成20年6月1日の前日の平成20年5月31日ということ。