民法 債権 1章 総則 424条

第3款 詐害行為取消権

第1目 詐害行為取消権の要件

424条(詐害行為取消請求)
債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。

②前項の規定は、財産権を目的としない行為については、適用しない。

③債権者は、その債権が第1項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求(以下「詐害行為取消請求」という。)をすることができる。

④債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない。

趣旨
例えば、AがBに1000万円を貸した後にBは自己所有の土地をCに贈与した場合、Bは債務不履行により土地を差し押さえられることを避けるためにその贈与をした可能性があるため(詐害行為)、Aを保護する観点からBC間の贈与契約を取り消すよう裁判所に請求することができる。この制度を「詐害行為取消請求」というが、CがBの意図を知らなかった場合はこの制度は使うことはできない。

2項趣旨
詐害行為取り消し請求は財産権を目的とする行為以外の行為があった場合は使うことができない。

財産権を目的とする行為以外の行為の例
身分行為(婚姻、養子縁組、相続の承認、相続の放棄等)

3項趣旨
例えば、AがBに1000万円を貸した後にBは自己所有の土地をCに贈与した場合、Bは支払い期限内に返済ができなかったため、遅延利息が発生した。この場合、Aは元本の1000万円についての詐害行為取消請求は当然できるが、詐害行為の後に発生した遅延利息に付いても、その遅延利息の発生原因である「1000万円の債務不履行」が詐害行為の前に発生しているため、同じように詐害行為取消請求をすることができる。

4項趣旨
詐害行為取消請求は、強制執行ができない性質の債権である場合は使うことができない。

民法 債権 1章 総則 424条


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