民法 債権 1章 総則 408条~411条

408条(選択権の移転)
債権が弁済期にある場合において、相手方から相当の期間を定めて催告をしても、選択権を有する当事者がその期間内に選択をしないときは、その選択権は、相手方に移転する。

趣旨
債権者が債務者に対して期間を定め、選択するよう催告してもその期間内にその選択をしない場合は、その選択権は債権者に移転するということ。


409条(第三者の選択権)
第三者が選択をすべき場合には、その選択は、債権者又は債務者に対する意思表示によってする。

②前項に規定する場合において、第三者が選択をすることができず、又は選択をする意思を有しないときは、選択権は、債務者に移転する。

趣旨
債権者、債務者以外の者がその選択権を有する場合、その第三者は債権者か債務者に対してどちらにするかの意思表示をすれば決定する。(債権者、債務者の承諾は必要ない)

2項趣旨
第三者の選択権が債務者に移転する場合は次の2つ。

1、第三者が選択することができない。(事故や病気で意識がない等)
2、第三者が選択する意思がない。(催告をしても返事がない等)


410条(不能による選択債権の特定)
債権の目的である給付の中に不能のものがある場合において、その不能が選択権を有する者の過失によるものであるときは、債権は、その残存するものについて存在する。

趣旨
AがBに1000万円を融資し、Bは現金で返すか、自己所有の車を譲渡するか選択できる場合、その車がBの不注意によって事故を起こし、廃車となってしまえばBは現金で支払うことを選択することになる。


411条(選択の効力)
選択は、債権の発生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

趣旨
例えば、AがBに1000万円を融資し、Bは現金で返すか、自己所有の車を譲渡するか選択できる場合、Bが車を選択すると、契約があった時からその車はA所有とみなされる。そこで第三者が出現した場合は、例えば、Aに選択権が移転して、Aは車を選択した。しかし、Bはその後Cにその車を売ってしまった場合、所有権移転は動産の場合は引き渡しが条件となるため、先に引き渡しを受けたものがその車の所有者となる。仮に目的物が不動産であれば先に登記を済ませた者が有利となる。

民法 債権 1章 総則 408条~411条


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