民法 物権 3章 所有権 249条~255条

TY24

2020年04月21日 08:35

第3節 共有

249条(共有物の使用)
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

趣旨
例えば、AとBで車を半分ずつお金を出し合って購入した場合、50%ずつの共有物となるが、Aは1年間のうち、半年間その車を使用することができ、Bも同様となる。


250条(共有持分の割合の推定)
各共有者の持分は、相等しいものと推定する。

趣旨
例えば、ABCの3人で土地を共有している場合、全員が土地の3分の1ずつ所有していると推定されるが、推定規定のため、そうでない証拠があればその証拠に基づいて割合が決まる。また、Aが2分の1、BとCは4分の1という割合で共有するという契約があれば、その内容が優先される。


251条(共有物の変更)
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。

趣旨
以下の3つのように、共有物に変更を加える場合は、他の共有者の同意が必要となる。

1、共有物の売買、その他の共有物にかかる権利の取り消し、解除等。
2、共有物が土地の場合、その土地を田んぼから畑に変更する等。
3、共有物が山林の場合、その山林の木を伐採する等。


252条(共有物の管理)
共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。

趣旨
共有物に対する「管理」行為は共有者の過半数の同意が必要で、「保存」行為は単独ですることができる。

管理行為の例
1、使用貸借や賃貸借(契約取消や解除を含む)
2、改良行為(共有物の価値が増加する行為) リフォームや自動車のグレードアップ等

保存行為の例
1、共有物の修繕(改良とは違い、価値を増加させる行為とは区別される)
2、不法占拠者に対する妨害排除請求や返還請求(占有保持の訴え等)
3、不法な登記をした者に対する登記抹消請求


253条(共有物に関する負担)
各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。

②共有者が1年以内に前項の義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる。

趣旨
共有者は自分の持ち分に対して管理費用や維持費、税金を支払う義務がある。

2項趣旨
前項の義務を1年以上履行しない共有者がいる場合、他の共有者はその人の持分の相当額を支払ってその持分を取得することができる。


254条(共有物についての債権)
共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができる。

趣旨
例えば、ABCの3人で車を共有している場合、その車の車検の費用が12万かかれば、1人4万ずつ支払うことになる。しかし、Cが持ち合わせがないということでその4万円をAが立て替えた。すると、AにはCに対する債権が発生する。その後、CはAにその4万円を支払う前にDに車の持分を売却した。Dは本条でいう「特定承継人」となる。この場合、AはCに4万を請求することもできるし、Dに対しても4万を請求することができる。このような売買契約等により、権利を受け継いだ者を特定承継人といい、相続や合併等で権利を受け継いだ者は包括承継人という。


255条(持分の放棄及び共有者の死亡)
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

趣旨
例えば、ABCの3人で土地を共有している。その持分の割合は、Aが50%、Bが30%、Cが20%とする。この場合、Aが持分放棄、又は死亡して相続人がいない場合、その50%のAの持分はBとCの物になるわけだが、割合も持分に従って分けることになるので、Bが30%を取得し、Cが20%を取得する。結果、Bの持分は60%、Cの持分は40%となる。









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