民法 物権 3章 所有権 256条~260条

TY24

2020年04月21日 11:42

256条(共有物の分割請求)
各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。

② 前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から5年を超えることができない。

趣旨
例えば、ABCの3人で土地を共有している場合、AはBCにいつでも土地を分けて各持分の分だけ単独所有にしようという旨を請求することができる。BCも同様に請求する権利を有する。ただし、共有する際に、5年以内は分割をやめましょうという契約はしてもよい。

2項趣旨
1項の但書(分割禁止の契約)は更新することができるが、更新の場合も、最初の契約同様、5年以内にしなければならない。つまり、分割禁止の契約は5年縛りである。(5年以内であれば何年でもよい)


257条
前条の規定は、第229条に規定する共有物については、適用しない。

趣旨
229条の共有物(土地の境界線上に作った境界標、囲障、障壁、溝、堀)は分割請求ができない。よって、分割禁止の契約もできない。


258条(裁判による共有物の分割)
共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。

② 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。

趣旨
共有物の分割の際、共有者同士で話がまとまらない場合は、その分割を裁判所に請求することができる。しかし、共有物が車であった場合、例えば、Aはエンジン、Bはボディー、Cはシャーシというような分割は現実的ではなく、バラバラにするとその物の価値を大きく下げてしまう恐れがあるため、裁判所はその共有物(車)を競売にかけてお金を分割しなさいと命ずることができる。


259条(共有に関する債権の弁済)
共有者の一人が他の共有者に対して共有に関する債権を有するときは、分割に際し、債務者に帰属すべき共有物の部分をもって、その弁済に充てることができる。

② 債権者は、前項の弁済を受けるため債務者に帰属すべき共有物の部分を売却する必要があるときは、その売却を請求することができる。

趣旨
AとBで100㎡の土地を共有している場合、固定資産税の10万円をAとBで5万円ずつ折半する必要があるが、Bは持ち合わせがなかったため、Aがその5万円を立て替えた。するとAはBに対して5万円の債権を有する事になる。その後、その土地を分割することになったが、その5万円の債権をBの持分から回収することができる。(Aは60㎡、Bは40㎡という具合)

2項趣旨
1項の例と同様に考えると、50㎡ずつ分割した後に、AはBに対してその分割した土地の一部を売却して5万円を支払ってくださいと請求することもできる。


260条(共有物の分割への参加)
共有物について権利を有する者及び各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加することができる。

② 前項の規定による参加の請求があったにもかかわらず、その請求をした者を参加させないで分割をしたときは、その分割は、その請求をした者に対抗することができない。

趣旨
共有物の分割に参加できる共有者以外の人は次の2つがある。

1、共有物の抵当権者や賃借人等
2、共有者にお金を貸している債権者

共有物の分割の際に裁判になった場合、(裁判でなくとも協議に参加する権利がある)上記に該当する者は自分で分割に参加するに際し発生する費用を負担して協議に参加し、分割について意見を述べることができる。

2項趣旨
上記の1、2に該当する分割に参加する権利のある者から参加の請求があったにもかかわらず、それを無視して分割を強行した場合の例を挙げると、Aにお金を貸しているC(債権者)から分割協議への参加請求があった。しかしその請求を無視して、AB間の分割手続きが完了した。それを知ったCはその分割した土地全部を差し押さえたが、Bは「分割手続きが終わって半分は自分の物だから自分の分は関係ないからその差押えは無効だ」と主張してもそれは認められない(対抗できない)ということになる。








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