民法 物権 7章 留置権 295条~297条

295条(留置権の内容)
他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。

②前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。

趣旨
例えば、AがBに車の修理を依頼し、Bはその車の修理を完了した。その時点でBはAに対して「修理代」という債権を有する事になるので、Aが修理代を支払う前に車を返してくれと言ってもBはその車を留置する権利を有するため、Aに車を渡さなくてもよい。ただし、支払期限が到来していない場合は、返さないといけない場合もある。

2項趣旨
例えば、盗んだもの(不法占有)に留置権は発生しない。


296条(留置権の不可分性)
留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる。

趣旨
例えば、Aが2台の車の修理をBに依頼し、Bはその修理を完了した。1台10万円の修理代がかかったので、Bは合計20万円の修理代をもらう権利がある。そこで、Aが10万円だけ支払ったので、1台だけ返してくれと言ってきたが、留置権は分けることができない(不可分性)と解されているので、あと10万円を受け取るまでは2台とも返す必要はないことになる。


297条(留置権者による果実の収取)
留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる。

②前項の果実は、まず債権の利息に充当し、なお残余があるときは元本に充当しなければならない。

趣旨
例えば、AからA所有の家の修理を依頼されたBは家の修理を完了させた。しかしAから修理代の支払いがないのでその家を留置していた。Aは修理代を払う前にその家をCに賃貸した。この場合、BはCが支払う家賃を修理代として受け取ることができる。

2項趣旨
前項例を引用すると、Cの家賃を受け取る場合、家の修理代の利息から相殺し、利息がなくなった後に元本に充てるということ。

民法 物権 7章 留置権 295条~297条





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