424条の7(被告及び訴訟告知)
詐害行為取消請求に係る訴えについては、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める者を被告とする。
1、受益者に対する詐害行為取消請求に係る訴え ⇒ 受益者
2、転得者に対する詐害行為取消請求に係る訴え ⇒ その詐害行為取消請求の相手方である転得者
②債権者は、詐害行為取消請求に係る訴えを提起したときは、遅滞なく、債務者に対し、訴訟告知をしなければならない。
趣旨
詐害行為取消請求の裁判をする場合、被告は受益者か転得者のみで、債務者が被告となることはない。
2項趣旨
詐害行為取消請求の裁判を提起したときは、原告は債務者に対しても裁判を提起したことを遅滞なく告知する義務を負う。
424条の8(詐害行為の取り消しの範囲)
債権者は、詐害行為取消請求をする場合において、債務者がした行為の目的が可分であるときは、自己の債権の額の限度においてのみ、その行為の取消しを請求することができる。
②債権者が第424条の6第1項後段又は第2項後段の規定により価額の償還を請求する場合についても、前項と同様とする。
趣旨
例えば、AがBに100万円を貸した後にBは現金200万円をCに贈与してしまい、Bの財産はなくなってしまった。そしてBは債務不履行となったため、Aは詐害行為取消請求を提起してCに対して200万円の贈与契約の取り消しを請求したが、現金は分けることができるため、Aが回収できるのは自分の債権額の100万円であるということ。
2項趣旨
受益者が得た目的物が消失してしまい、それに代えて金銭を請求する場合も自分の債権額が上限となるということ。
424条の9(債権者への支払い又は引渡し)
債権者は、第424条の6第1項前段又は第2項前段の規定により受益者又は転得者に対して財産の返還を請求する場合において、その返還の請求が金銭の支払又は動産の引渡しを求めるものであるときは、受益者に対してその支払又は引渡しを、転得者に対してその引渡しを、自己に対してすることを求めることができる。この場合において、受益者又は転得者は、債権者に対してその支払又は引渡しをしたときは、債務者に対してその支払又は引渡しをすることを要しない。
②債権者が第424条の6第1項後段又は第2項後段の規定により受益者又は転得者に対して価額の償還を請求する場合についても、前項と同様とする。
趣旨
詐害行為取消請求は基本的に債権者が受益者、又は転得者に対して、得た目的物を債務者に返すよう求めるものであるが、その目的物を自分(債権者)に渡すように求めることもできるということ。この場合、受益者又は転得者はその請求に従って債権者に目的物を引き渡せば、債務者に返還する必要はなくなるということ。
2項趣旨
前項の規定は目的物が消滅してしまい、代わりに金銭を請求する場合にも同じように使われるということ。