民法 債権 1章 総則 425条~425条の2

TY24

2020年05月22日 11:06

第3目 詐害行為取消権の行使の効果

425条(認容判決の効力が及ぶ者の範囲)
詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する。

趣旨
詐害行為取消請求で認容判決が出た場合、その効力は裁判の当事者(原告及び被告)だけでなく、債務者やその債務者の他の債権者全員に判決の効力が及ぶということ。
例えば、AはBに300万円を貸していたが、Bは評価額300万円の自己所有の車をCに100万円で売却してしまった。そこでAがCに対して詐害行為取消権を行使して裁判を行い、認容判決が確定した場合、Cはその車をこの裁判に参加していないBに返し、売買代金の100万円をBに対して返還するよう求めることができる。また、BはDからも300万円を借りていたため、AとDがこの車から回収できる金額は債権額の割合で決するため、1対1となり、150万円ずつとなる。


425条の2(債務者の受けた反対給付に関する受益者の権利)
債務者がした財産の処分に関する行為(債務の消滅に関する行為を除く。)が取り消されたときは、受益者は、債務者に対し、その財産を取得するためにした反対給付の返還を請求することができる。債務者がその反対給付の返還をすることが困難であるときは、受益者は、その価額の償還を請求することができる。

趣旨
例えば、AはBに300万円を貸していたが、Bは評価額300万円の自己所有の車をCに100万円で売却する契約を締結したが、Cは現金の手持ちがなかったため、評価額100万円の時計でBに支払いをした(反対給付)。その後、Aが詐害行為取消請求を提起して、認容判決が確定した場合、BC間の契約は取り消されるため、Cは車をBに返還し、Bは時計をCに返還しなければならないが、Bはその時計をすでに売却しており、時計の返還は困難な状況である。この場合、C(受益者)はBに対して時計の評価額100万円を現金で請求することができるということ。



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