37条(外国法人の登記)
外国法人(第35条第1項但し書きに規定する外国法人に限る。以下この条にて同じ)が日本に事務所を設けたときは、
3週間以内にその事務所の所在地において、次にあげる事項を登記しなければならない。
1、外国法人の設立の準拠法
2、目的
3、名称
4、事務所の所在場所
5、存続期間を定めたときは、その定め
6、代表者の氏名及び住所
趣旨
外国法人のうち、第35条第1項ただし書に規定するもの(=法律又は条約の規定により認許された外国法人)は、日本に事務所を設けたときは、3週間以内に、その事務所の所在地において、次に掲げる事項を登記しなければなりません。なお、本項に違反して登記がなされなかった場合は、罰則が適用されます(第37条第8項)。
②前項各号にあげる事項に変更を生じたときは
3週間以内に変更の登記をしなければならない。この場合において登記前にあっては、その変更をもって第三者に対抗することができない。
2項趣旨
この場合、登記が完了していなければ、変更した事項について、第三者に主張することができません。
なお、本項に違反して登記がなされなかった場合は、罰則が適用されます(第37条第8項)。
対抗することができないとは
対抗することができないとは、第三者に対して自らの主張を相手に認めさせることができない、ということです。本項において、第三者に対して対抗することができないとは、第三者に対して、変更した事項について認めさせることができない、という意味になります。
③代表者の職務の執行を停止し、若しくはその職務を代行するものを選任する仮処分命令、又はその仮処分命令を変更し、若しくは取り消す決定がされたときは、その登記をしなければならない。この場合においては、前項後段の規定を準用する。
3項趣旨
外国法人のうち、第35条第1項ただし書に規定するもの(=法律又は条約の規定により認許された外国法人)は、代表者の職務の執行を停止したり、代表者の職務を代行する者を選任する仮処分命令があったり、またはその仮処分命令の変更や取消しの決定があった場合は、登記をしなければなりません。この場合、第37条第2項の後段の規定により、登記が完了していなければ、代表者の職務執行の停止等を第三者に主張することができません。なお、本項に違反して登記がなされなかった場合は、罰則が適用されます(第37条第8項)。
④前2項の規定により、登記すべき事項が外国において生じたときは、登記の期間はその通知が来た日から起算する。
4項趣旨
本項は、外国法人が登記すべき期間の起算点について規定しています。外国法人のうち、第35条第1項ただし書に規定するもの(=法律又は条約の規定により認許された外国法人)は、第37条第2項と第37条第3項の規定により登記すべき事項が外国において生じたときは、登記の期間は、その通知が日本の事務所に到達した日から起算します。日本国内で登記事項について変更が生じた場合と違って、外国で登記事項について変更が生じた場合は、その通知が到達するのに時間がかかる可能性があります。このため、その登記事項の変更の通知が日本の事務所に到着した日から登記すべき期間を計算します。なお、本項に違反して登記がなされなかった場合は、罰則が適用されます(第37条第8項)。
⑤外国法人が初めて日本に事務所を設けたときはその事務所の所在地において登記するまでは、第三者はその法人の成立を否認することができる。
5項趣旨
つまり、第三者としては、外国法人が日本国内に事務所を開設しようとも、登記をしていなければ、法人としては認める必要はない、ということです。なお、本項に違反して登記がなされなかった場合は、罰則が適用されます(第37条第8項)。
⑥外国法人が事務所を移転したときは、旧所在地においては
3週間以内に移転の登記をし、新所在地においては
4週間以内に第1項にあげる事項を登記しなければならない。
6項趣旨
外国法人のうち、第35条第1項ただし書に規定するもの(=法律又は条約の規定により認許された外国法人)が事務所を移転した場合は、旧所在地で3週間以内に移転の登記をしたうえで、新所在地で4週間以内に第37条第1項各号に掲げる事項を登記しなければなりません。なお、本項に違反して登記がなされなかった場合は、罰則が適用されます(第37条第8項)
⑦同一の登記所の管轄区域内において事務所を移転したときは、その移転を登記すれば足りる。
7項趣旨
本項により、同一の登記所の管轄区域内で移転する場合は、前項(6項)のように新所在地で登記をし直すことは必要なく、移転登記だけでよいことになります。
⑧外国法人の代表者が、この条に規定する登記を怠ったときは、50万円以下の過料に処する。
8項趣旨
外国法人(=法律又は条約の規定により認許された外国法人)の代表が、本条に違反して登記を怠った場合、
50万円以下の過料が科されます。
過料とは
過料とは、金銭的な制裁の一種であり、
科料や罰金刑と違って、刑罰ではありません。