第5節 条件及び期限
127条(条件が成就した場合の効果)
停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
②解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。
③当事者が条件が成就した場合の効果をその成就したとき以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。
趣旨
条件とは、将来発生するかわからない
不確実な事実によって、法律行為の効力が発生するか消滅するかを決める特約。
期限とは、将来
確実に発生する事実に対して法律行為の効力が発生するか消滅するかを決める特約。
停止条件付法律行為をシンプルに例えると、「行政書士試験に合格したら車を買ってもらえる契約」という感じ。行政書士試験に合格するかは不確実なので、(一生合格できないかもしれない)条件であり、合格するまでは車を贈与するという法律行為は停止している状態であるから、停止条件付法律行為といえる。その不確実な試験合格という条件が成就したときに車の贈与という効力が生ずる。
2項趣旨
解除条件付き法律行為をシンプルに例えると、「娘と結婚してくれたらこの土地をあげるけど、もし離婚したら返してもらうよ」という契約。停止とは違って、娘と結婚するという条件によって先に法律行為の効力が発生します。しかし、結婚を継続できなかった場合は、解除条件が成就したことになり、土地を返還(土地贈与という法律行為の効力失効)しないといけない。
3項趣旨
当事者同士は、条件の効果の発生時期を決める特約を定めることができるが、税金や家賃などの金額を決める際に重要となる。
128条(条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止)
条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。
趣旨
「行政書士試験に合格したら自分が所有している車を贈与する」という条件付贈与契約があったとする。しかし、この車の所有者が、試験に合格する前(条件の成否が未定の状態)に別の人に車を売ったり、あげたりすることはしてはいけませんよという事。もしそういう行為が行われた場合、この受験生は合格すれば(条件が成就した場合)その目的物(貰えるはずだった車)と同レベルの車とか、金額を損害賠償として請求することができる。
129条(条件の成否未定の間における権利の処分等)
条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。
趣旨
「行政書士試験に合格したら自分が所有している車を贈与する」という条件付贈与契約があったとする。行政書士試験が終わった後、合格発表の前にその受験者が死亡してしまった場合、合格していれば、その受験者の子供は車を貰う権利を相続します。逆に車をあげると契約した方が死亡した場合も、その子供は車をあげるという「債務」を相続する。
また、車を貰えるという権利を第三者に1万円で売る(債権譲渡)事もできる。これは処分にあたる。
このケースでは現実的ではないが、仮登記や時効の更新は保存にあたる。