民法 総則 5章 法律行為 130条~131条

130条(条件の成就の妨害等)
条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその成就を妨げた時は、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。

②条件が成就することによって利益を受ける当事者が、不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。

趣旨
「行政書士試験に合格したら車をあげなければならない」という条件付の契約があった場合、車をあげなければならない人は試験合格という条件が成就してしまうと不利益を被ることになる。行政書士試験に合格することを故意に妨げる行為(例えば、試験当日に体調が悪くなるように、前日に薬を飲ませるなど)が認められた場合は、合格できなかったとしても、合格したとみなして車をあげなさいということ。

2項趣旨
1項とは逆の立場の人を保護する条文。上記と同様の契約で、行政書士試験に合格できなかった人が、合格証の偽造などの不正な手段で条件が成就したように仕向けた場合などは、条件が成就しなかったものとみなされる。ズルは許さないというあたりまえの話。


131条(既成条件)
条件が法律行為のときに既に成就していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無条件とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無効とする。

②条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無効とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無条件とする。

③前2項に規定する場合において、当事者が条件が成就したこと又は成就しなかった事を知らない間は、第128条又は第129条の規定を準用する。

趣旨
「既成条件」とは、法律行為の時点で、既に成否が確定していた事実を条件にすることをいう。

「行政書士試験に合格したら車をあげる」(停止条件)という契約をした時点で行政書士試験に合格していた場合は、停止の条件なんか無しで車が貰えるという事。(無条件)
また、「娘と離婚したら土地を使わせない」(土地利用という効果の解除)(解除条件)という契約をした時点で離婚が決定していた場合は、土地利用という効果自体が無効となり、土地は使えない。

2項趣旨
「行政書士試験に合格したら車をあげる」(停止条件)という契約をした時点で行政書士試験の不合格が確定していた場合は、車をあげるという効果が発生する余地がないので、無効となり、車をあげる必要はない。
また、「留年したら仕送りを止める」(解除条件)という契約をした時点で留年をしないことが決定していた場合は、「留年したら」という条件が無意味になるので、無条件となる。

3項は割愛する。

民法 総則 5章 法律行為 130条~131条


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