民法 総則 5章 法律行為 132条~135条

132条(不法条件)
不法な条件を付した法律行為は、無効とする。不法な行為をしない事を条件とするものも、同様とする。

趣旨
絵画を盗んできたら報酬を支払うという契約や、人を傷つけなければ報酬を支払うなどの契約は公序良俗に反するとして無効である。

実際の判例
妻との離婚を条件に、別の女性と婚約し、結婚までの間はその女性に扶養料を支払うという契約は、不法な条件を付したもので、無効となった(大審院大正9年5月28日判決)。

連帯債務者の一人に対し、お金を支払えば債務を免除するけれど、代わりに他の連帯債務者への通知を禁じるという合意は、他の連帯債務者に免除の利益を受けさせなくするものであって、不法な条件を付した法律行為にあたる(大審院明治40年3月18日判決)。

不法な条件にあたらないとされた判例
買主が第三者の養子になることを条件とする売買契約は、条件成就を強いるわけではないので、不法な条件を付した法律行為にはあたらない(大審院大正5年12月18日判決)。

故郷に帰ることを条件とする不動産譲渡の契約は、個人の自由を拘束するものではないので、不法な条件を付した法律行為とまではいえない(最高裁昭和23年9月18日判決)。


133条(不能条件)
不能の停止条件を付した法律行為は、無効とする。

②不能の解除条件を付した法律行為は、無条件とする。

趣旨
条件が成就する可能性がないものを不能条件としているが、それが停止条件の場合は、無効、解除条件の場合は無条件とすると定めているが、成就する可能性の無い条件が付いている契約は履行される可能性もないわけだから、133条が活躍する場面はあまりないと思料する。


134条(随意条件)
停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。

趣旨
条件が「売りたくなったら」売ってあげるのような契約は無効になる。そもそもそのような契約は法律行為の効力がない。注意点は、停止条件のみの適用で、解除条件の場合は債務者の気分的な条件が付いていても有効となる。


135条(期限の到来の効果)
法律行為に始期を付したときは、その法律行為の履行は、期限が到来するまでこれを請求することができない。

②法律行為に終期を付したときは、その法律行為の効力は、期限が来たときに消滅する。

趣旨
「2020年1月31日までに売買代金を支払う」という特約が付いた契約は、債権者はその日まで売買代金を請求することはできない。また、2項は「2020年1月31日までの賃貸借契約」を締結した場合、契約の効力はその日以降は消滅してしまうということ。

民法 総則 5章 法律行為 132条~135条



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