第2節 意思表示
93条(心裡留保)
意思表示は表意者が真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は
無効とする。
②前項ただし書きの規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
趣旨
心裡留保は真意がないため、いわゆる「意思の欠缺(意思の不存在)」のひとつとされます。
本条により、冗談やウソのような、本当の意思(真意)ではない意思表示をした場合は、その意思表示は、真意ではないにもかかわらず有効となります。このため、冗談であろうとウソであろうと、いったん意思表示をした以上は、その意思表示には法的に責任を持たなければなりません。
ただし、意思表示の相手方が、その意思表示が冗談やウソであり、真意によらないものだということを知っていたか、または知ることができた場合は、その意思表示は無効となります。
なお、本条を「通謀虚偽表示」(第94条第1項参照)との対比で、「単独虚偽表示」と表現することもあります。
2項趣旨
心裡留保による契約で事情を知らない第三者は保護する必要性があるという観点から新設された。