民法 総則 5章 法律行為 121条

121条(取消しの効果)
取消された行為は初めから無効であったものとみなす。

趣旨
121条の2の趣旨に含む


121条の2(原状回復の義務)
無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。

趣旨
心裡留保、錯誤、詐欺強迫などにより、契約が取消しとなった場合、その契約は無効であったとみなされる。無効となった場合、物を売った人は売買代金を返す義務を負い、物を買った人はその目的物を返す義務を負う。契約自体が初めからなかったことになるのだからシンプルに当たり前の話だが、契約当事者の状態によっては義務の条件に変化があるので、2項、3項の趣旨にて解説。

②前項の規定にかかわらず、無効な無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、給付を受けた当時、その行為が無効であること(給付を受けた後に前条の規定により初めから無効であったものとみなされた行為にあっては、給付を受けた当時その行為が取り消すことができるものであること)を知らなかったときは、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。

2項趣旨
本項は無償行為(贈与など)が取り消された場合の規定である。
たとえば、冗談やウソでその目的物を贈与した場合、心裡留保によりその契約は取り消し→無効となり、贈与を受けた人は、原状回復の義務を負うことになるが、贈与を受けた人が、その冗談やウソに全然気づいていなかった場合は、現存利益(残っている分)だけでいいから返してあげてという感じ。

③第1項の規定にかかわらず、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者についても同様とする。

3項趣旨
1項の原因により、取り消し→無効となった契約について、当事者に意思能力がなかった状態であった場合や、制限行為能力者であった場合もまた現存利益の原状回復にとどまる。これは無償行為でなくても適用される。

民法 総則 5章 法律行為 121条


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