183条(占有改定)
代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する。
趣旨
占有権の譲渡の条文。譲渡人がその物を引き続き所持するけれど、今後は譲受人のために占有するという意思表示をすれば、その物を所持する人は同じでも、占有権は譲受人に移動する。
184条(指図による占有移転)
代理人によって占有をする場合において、本人がその代理人に対して以後第三者のためにその物を占有することを命じ、その第三者がこれを承諾したときは、その第三者は、占有権を取得する。
趣旨
AがBに貸している車をCに売った。そこでAはBに対して「その車はCに売ったので今後はCのために車を保管してくれ」と命じ、その旨をCが承諾した。するとその車の占有権はCに移転することになる。注意点は承諾を得る相手は譲受人(第三者)のCであるということ。
185条(占有の性質の変更)
権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、又は新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ、占有の性質は、変わらない。
趣旨
本条は占有の性質の変更についての規定である。占有には
自主占有と
他主占有があり、次のいずれかを行うと、他主占有が自主占有に変わると規定されている。
1、その物の所有者に対して「これは自分の物である」という意思表示をし、占有を続ける。
2、新たな権原(売買による所有権取得等)に基づいて所有の意思をもって占有を開始する。
他主占有では時効取得の要件に当たらないが、自主占有だと時効取得の対象となるという占有の性質に違いが出てくる。