民法 物権 3章 所有権 219条~221条

219条(水流の変更)
溝、堀その他の水流地の所有者は、対岸の土地が他人の所有に属するときは、その水路又は幅員を変更してはならない。

②両岸の土地が水流地の所有者に属するときは、その所有者は、水路及び幅員を変更することができる。ただし、水流が隣地と交わる地点において、自然の水路に戻さなければならない。

③前2項の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。

趣旨
川を挟んでAの土地とBの土地がある。この場合、例えば、Aが自分の土地の岸を埋め立てて川の幅を変えたり、川の水流に影響を及ぼすような工事を行うと、向こう岸のBの土地に川の水があふれたり岸が削られたり、川が氾濫しやすくなる恐れがあるため、こういった行為は禁止されている。

2項趣旨
川を挟んでAの甲土地と乙土地がある。向こう岸の土地も自分の土地ということなので、岸を埋め立てたりして川幅を変更することは可能だが、乙土地の隣のB所有の丙土地がある場合、その地点で自然な水流になるように工事を行わなければBからの何らかの請求に対して対抗することはできない。

3項趣旨
前項の例でいうと、その地域に「両岸が同一の所有者であっても川を埋め立てることはできない」という慣習があれば、その慣習に従わなければならないということ。


220条(排水のための低地の通水)
高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、又は自家用若しくは農工業用の余水を排出するため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる。この場合においては、低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ばなければならない。

趣旨
高地の所有者は、次の2つの場合は川や下水道へ排水する目的であれば、低地に水を流すことができる。

1、浸水した土地を乾かすため
2、生活用、農業用、工業用に使用した水を排水するため

この場合、低地に及ぼす悪影響を最小限に抑える場所や方法を選んで行う義務がある。


221条(通水用工作物の使用)
土地の所有者は、その所有地の水を通過させるため、高地又は低地の所有者が設けた工作物を使用することができる。

②前項の場合には、他人の工作物を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、工作物の設置及び保存の費用を分担しなければならない。

趣旨
土地の所有者はその土地の水を流すために高地又は低地の所有者が作った設備(排水路等)を使用することができるが、他人が作った設備を使用する場合は、その設置費用や維持費を使用頻度に応じて分担する義務を負う。

民法 物権 3章 所有権 219条~221条








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