民法 物権 3章 所有権 222条~229条

222条(堰の設置及び使用)
水流地の所有者は、堰を設ける必要がある場合には、対岸の土地が他人の所有に属するときであっても、その堰を対岸に付着させて設けることができる。ただし、これによって生じた損害に対して償金を支払わなければならない。

②対岸の土地の所有者は、水流地の一部がその所有に属するときは、前項の堰を使用することができる。

③前条第2項の規定は、前項の場合について準用する。

趣旨
川岸に土地を所有している者は、水流をせき止める必要がある場合は、向こう岸が他人の土地であっても向こう岸に接岸させて堰を設置することができるが、それによって向こう岸の土地の所有者に損害が発生した場合は、その償金を支払う義務がある。

2項趣旨
川を挟んでAとBが土地を所有している場合、Aが設置した堰をBも使用することができる。

3項趣旨
221条2項を準用するので、前項の例えでいえば、Bは使用頻度に応じてAに使用料を支払う義務がある。


223条(境界標の設置)
土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。

趣旨
土地の所有者は、隣の土地の所有者とお金を出し合って土地の境目に目印を立てることができる。


224条(境界標の設置及び保存の費用)
境界標の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。ただし、測量の費用は、その土地の広狭に応じて分担する。

趣旨
境界標の設置費と維持費は半分ずつ払うのが原則だが、測量費については広さの割合に応じて費用を分担する。


225条(囲障の設置)
2棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる。

②当事者間に協議が調わないときは、前項の囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ2メートルのものでなければならない。

趣旨
所有者の違う2棟の建物があって、その建物の間にスペースがある場合、建物の所有者同士でお金を出し合って、土地の境界に垣根や塀などの囲障(いしょう)を作ることができる。

2項趣旨
どんな垣根や塀を設置するか、当事者で話がまとまらない場合に、作れる囲障は、板の塀や竹垣で、高さは2メートルのものとなる。


226条(囲障の設置及び保存の費用)
前条の囲障の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。

趣旨
225条の囲障の設置費用と維持費は、各建物の所有者が半分ずつ支払う義務がある。


227条(相隣者の1人による囲障の設置)
相隣者の一人は、第225条第2項に規定する材料より良好なものを用い、又は同項に規定する高さを増して囲障を設けることができる。ただし、これによって生ずる費用の増加額を負担しなければならない。

趣旨
隣同士の土地を所有する二人のうち、どちらかの者は、225条に規定されている材料よりも良質なもの(コンクリート等)を使用することができ、2メートルより高くすることもできるが、その増額分は本法に規定されたものより良質な物にしたいと申し出た者が負担しなければならない。


228条(囲障の設置等に関する慣習)
前3条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。

趣旨
簡単に例えると、前条の例で、「民法の規定する壁よりも高価な壁を作りたいと申し出た者はその費用の全額を負担する」という慣習がある地域ではその慣習が優先適用されるということ。


229条(境界標等の共有の推定)
境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。

趣旨
境界線上にある、その境界を仕切っている物は両者の共有物であると推定しているが、あくまでも「推定規定」なので、設置の際にどちらかの所有者が全額負担したという証拠がある場合は、共有物ではなく、費用を負担した者の所有となる。

民法 物権 3章 所有権 222条~229条




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