民法 物権 8章 先取特権 315条~319条

315条(不動産賃貸の先取特権の被担保債権の範囲)
賃借人の財産のすべてを清算する場合には、賃貸人の先取特権は、前期、当期及び次期の賃料その他の債務並びに前期及び当期に生じた損害の賠償債務についてのみ存在する。

趣旨
例えば、A所有のアパートをBが賃借している場合、Bが4月に破産したらAは3月、4月、5月の家賃には先取特権を行使できる。また、部屋の破損等の損害賠償は3月、4月に発生した件のみに先取特権を行使できる。


316条
賃貸人は、第622条の2第1項に規定する敷金を受け取っている場合には、その敷金で弁済を受けない債権の部分についてのみ先取特権を有する。

趣旨
例えば、A所有のアパートをBが賃借している場合、Aが敷金を受け取っていれば、その敷金で補えなかった分の債権(未払いの家賃や、破損の損害賠償)のみ先取特権を行使できる。


317条(旅館宿泊の先取特権)
旅館の宿泊の先取特権は、宿泊客が負担すべき宿泊料及び飲食料に関し、その旅館に在るその宿泊客の手荷物について存在する。

趣旨
宿泊客が宿泊料金や飲食料を支払わない、若しくは支払えない場合は、旅館(債権者)は、その宿泊客が持っている手荷物(時計や財布、その他価値のある物)に対して先取特権を行使できる。


318条(運輸の先取特権)
運輸の先取特権は、旅客又は荷物の運送賃及び付随の費用に関し、運送人の占有する荷物について存在する。

趣旨
運送業者(債権者)は客から運送料の支払いがない場合は、客の荷物に対して先取特権を行使できる。


319条(即時取得の規定の準用)
第192条から第195条までの規定は、第312条から前条までの規定による先取特権について準用する。

趣旨
一部の先取特権には即時取得の規定が準用されるので、例えば、A所有のアパートをBが賃借しており、家賃の未払いがある場合、AはBの部屋にあるテレビを先取特権を行使して即時取得した。このテレビがBの友人所有の物であったとしても、Aが善意無過失であればBはAにそのテレビを返してもらうことはできない。

民法 物権 8章 先取特権 315条~319条


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