第1節 総則
144条(時効の効力)
時効の効力は、その起算時にさかのぼる。
趣旨
時効の効力は、時効が完成した時点ではなく、最初からその状態であったということになる。例えば、土地を自分のものだと信じて20年使い続けていたら実は他人の土地だったが、時効完成で晴れて正式に自分の土地となった。その土地を使い始めた時から時効の効力により、自分のものであったとされるので、他人の土地を無断で使用していたというような罪や責任を問われることはない。
145条(時効の援用)
時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
趣旨
時効は、それによって利益を受ける人がその利益を主張しなければ、裁判所が勝手に裁判をすることはできないということ。