民法 総則 2章 人  6条~7条

第3節

6条(未成年者の営業許可
1種又は数種の営業を許された未成年者はその営業に関しては成年者と同じ行為能力を有する。

趣旨
本項は、事業をおこなう未成年者の権利能力について、制限を解除する規定です。たとえ未成年者であったとしても、その法定代理人(親権者または未成年後見人。一般的には親)から、一種または数種の営業(事業などのいわゆるビジネスをおこなうこと)を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同じように行為能力を有します。

いくら未成年者とはいえ、ビジネスの世界に飛び込んだからには、自由に単独で法律行為ができます。その代わりに、未成年者特有の民法による保護(第5条第1項参照)は、一切受けることができません。なお、未成年者の法定代理人には、未成年者が営業をおこなうことについて、許可をできる権利があります(民法第823第1項)。このため、未成年者は、法定代理人の許可がないと事業をおこなったり、起業したりすることができません。ちなみに、未成年者が商法第4条の「営業」をおこなう場合は、登記をしなければなりません(商法第5条)

6条2項
前項の場合において、未成年者がその営業に堪える事ができない事由がある時はその法定代理人は第4編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し又はこれを制限する事ができる。

趣旨
本項は、第1項による未成年者が営業をおこなう許可について、法定代理人(親権者または未成年後見人。一般的には親)が取消し(正確には撤回)や制限ができる規定です。第6項第1項により、未成年者に営業(=事業)をおこなう許可が出た場合であっても、必ずしも未成年者が事業を成功させることができるとは限りません。このため、未成年者がその営業ができない事由がある場合は、その法定代理人は、第4編(親族)の規定(おもに第823条第2項)にもとづき、その許可の取消し、またはその許可の制限をすることができます。なお、営業の許可の取消しや制限(その制限された部分のみ)があった場合、その後の未成年者は、通常の未成年者同様の保護(第5条第1項参照。)を受けることができます。

7条(後見開始の審判)
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状況にある者については家庭裁判所は本人、配偶者、4親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により後見開始の審判をする事ができる。

趣旨
本条は、後見開始の審判について規定しています。
認知症、知的障害、精神障害などによって、物事の認識ができない者については、家庭裁判所は、次のいずれかの者の請求により、後見開始の審判をすることができます。

1、判断能力が回復しているときの本人
2、配偶者
3、4親等内の親族
4、未成年後見人
5、未成年後見監督人
6、保佐人
7、保佐監督人
8、補助人
9、補助監督人
10、検察官

認知症、知的障害、精神障害などにより、物事の認識ができない者は、物事の判断ができません。このような者は、不利な内容の契約を結んでしまわないように、強力に保護されています(第9条参照)。このため、上記の関係者の申し立てにより、家庭裁判所がその者を被後見人として保護するべきかどうかを決定し、その者を保護する後見人を選任するための審判をします(第8条参照)。


民法 総則 2章 人  6条~7条


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